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【経済】人口減少+高齢化による悪影響(デフレ)について考える〜日本人の勝算:人口減少×高齢化×資本主義より〜

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最近、雑誌やテレビでは一部の売上を伸ばす企業や、最新のテクノロジーを紹介する事によって、「日本は世界に誇れる国家である」とアピールする傾向が強くなっているように感じています。

 

僕もそうであってほしいと思っているのですが、感覚的に日本は苦しい方向に進んでいるという危機感を感じています。

 

少しその辺を調べてみようと思い、日本の今後の経済がどうなるのかについて書かれた書籍、日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義を読んでみました。

 

書籍には、今日本を襲う本質的であり根本的な問題である「人口減少」と「少子高齢化」について書かれており、今対策を打たないと最悪の事態も想定されることが記載されています。

 

本記事では第1章に書かれた「人口減少」と「少子高齢化」が引き起こすデフレについてご紹介させて頂きます。

 

1. デフレ圧力の常態化

ご存知の通り日本経済はバブル崩壊後からデフレに突入しています。デフレは20年経った今でも解消せず、今や「失われた30年」になりつつあります。

 

第二次安倍晋三内閣でも「デフレ脱却」のために黒田日銀総裁により過去にない大規模な金融緩和が実施されましたが、7年もの月日が経った今においても物価上昇率は目標の2%を達成していません。

 

アベノミクスにおいては、株価上昇や利益を増やす企業も増えていますが、一次的な成果だと著者は考えており、今後は更に大きなデフレ圧力が到来するとIMFも同様の分析をしています。

 

2. 最新の研究では、日本の「デフレリスク」は最強:需要要因

 

日本を襲う大きな問題が「少子高齢化」、そして「人口減少」です。

実は世界的に見ても人類は高齢化に向かっています。そのため、海外の政府機関や有名大学も高齢化の影響を熱心に分析しています。

しかし一方の人口減少に関しては、他国でも例がない(厳密には他国でもあるが、日本が異常に人口減少が進んでいる)日本特有の問題となっており、研究が十分になされていないという状態になっています。

 

それでは、少子高齢化や人口減少が経済にどのような影響を与えているのか、簡単にご説明します。

 

 

【①人口減少は最強デフレ圧力】

最近の海外の分析をまとめると、人口減少はそれだけで強烈なデフレ要因になることがわかっています

しかも残念な事に人口増加によるインフレ圧力よりも、人口減少によるデフレ圧力は倍くらい大きいようです。

 

日本はGDPランキングが上位なので大丈夫と感じるかもしれませんが、実は国民一人当たりのGDPは先進国中でもかなり低い方です。

これは、日本の経済成長は団塊世代等の人口数の多さにより保たれたという意味でもあり、今後の人口減少が進む中では日本経済の廃退は避けられないと言っているようなものです。

※本書ではその現状を踏まえての、日本の今後の対策方法を示しています。

 

【②少子高齢化によるデフレ圧力】

少子高齢化は人口減少によるデフレに拍車をかけ、更にデフレを深刻化させます。

少子高齢化に関する研究を総括すると以下の4つの結論が見えてきます。

 

 

▪️子供が減るのはインフレ要因、減るのはデフレ要因

▪️生産年齢人口(15歳以上64歳未満の人)が増えるのはデフレ要因、減るのはインフレ要因

▪️高齢化はインフレ要因

▪️超高齢化(74歳以上)は大きなデフレ要因

 

日本では、子供の減少(デフレ要因)、超高齢化(デフレ要因)が今後進むため、デフレ圧力が進むとされています。

 

【③政治的なデフレ圧力】

給料を稼げる人はインフレを好みますが、高齢者は収入が無いためデフレを好む傾向があり、数の多い高齢者の意見が尊重されやすく、インフレにつがなる政策がしにくい現状があります。

 

【④産業構造の変化によるデフレ圧力】

若い人が多い経済ではモノを消費する比率が高いので製造業が盛んになりますが、高齢者が増えれば介護などのサービス産業が盛んになります。

このことは生産性向上に悪影響を与え、所得の上昇を妨げますので、デフレの要因の1つとなっています。

 

3. 最新の研究では、日本の「デフレリスク」は最強:需要要因

上記までは需要要因(買う側)のデフレ圧力をご説明しましたが、ここからは少子高齢化、人口減少による供給要因(売る側)のデフレ圧力をご紹介します。

 

 

【①企業の生き残りによるデフレ圧力】

需要が減っても、供給が減らせればデフレ圧力は吸収されますが、同じペースで供給が減らなければ経済はデフレになります。

 

供給を減らす=企業の数を減らす事を意味するので、各社は生き残るように価格を下げ、他社の体力を奪い倒産に追い込むという状態になります。これをLast man standing 利益と呼び、今日までの日本の企業動きとなっています。

これもまたデフレの主因になっています。

 

【②労働分配率の低下によるデフレ圧力】

Last man standing戦略実行のためには価格を下げる必要があるため、企業は人件費を削減しようとします。これは労働分配率の低下と呼ばれ、英国銀行がまとめた論文によるとかなりのデフレ圧力を招くと言われています。

 

国もこの状況の打破のために、いくつか政策を行っているのですが、企業側は生産性を高める活動をせず、内部保留として蓄えるケースが多いようです。

 

【③最低賃金が低い事によるデフレ圧力】

日本は最低賃金が国際的に見てもかなり低く、それがデフレの大きな要因になっています。

Last man standing戦略で下がる人件費も最低賃金が低い事による影響もあります。

 

加えて日本では低賃金で働く外国人労働者の雇用に躍起になっています。外国人労働者が増えれば住民の数が増えるのでその分の需要の増加は期待できますが、Last man standing利益のためであればあるほど、労働人口に占める最低賃金で働く人の割合が増え、労働分配率のさらなる低下に繋がります。

 

4.最後に、デフレってそんなに悪いの?

さて、ここまで人口減少と少子高齢化がもたらすデフレの説明がをしてきましたが、そもそもデフレって悪いの?と思う人もいると思います。

 

うちの父なんかも年金生活なのでデフレでいいんじゃない?とか言ってきます。

 

そう思われる方もいると思いますので、参考までにこちらの記事をご紹介します。

長いですので、時間のある方はどうぞ。

 

 

 

(毎日新聞東京版 2001年4月1日掲載)

3月16日に政府はデフレを宣言し、3月19日に日銀は物価上昇率がゼロ%以上になるまでゼロ金利を続けることを決めた。しかし、どうしてデフレが悪いことなのかは、一般の人にとって、わかりにくいかもしれない。簡単に言うとデフレの問題点は、住宅ローンの負担を増し、リストラによる失業の可能性を増すことである。それが、不況を深刻にするのである。

 デフレとは、「持続的な物価下落」である。物価が下がるのだから人々の暮らしはよくなるのではないか。インフレよりよっぽどいいのではないか。そう考える人も多いだろう。実際、技術革新や安い外国製品の流入、流通業の効率化といった要因で物価が下がっている側面もある。それなら人々の実質的な生活水準は上がっているのだから、デフレは何も悪いことではない。「良い物価下落」という表現もあるくらいである。

 しかし、実は物価全体が下落するという現象と一部の物価だけが下落するという現象は、経済には全く異なった影響を与える。全ての物価が比例的に下落する状況の極端なケースは、デノミである。つまり、今までの100円を新たな円で1円と表記するやり方である。この場合は、預金残高も賃金も住宅ローンも全て100分の1の価格になる。したがって、デノミそのものは経済に中立的である。

 しかし、実際に生じているデフレの場合には、全ての物価が一律に下がっているのではない。例えば、預金残高、現金、住宅ローンといった金融資産・負債といったものは、デフレであっても名目価値が下がらない。むしろ、デフレでは、こういった資産の価値は実質的に上がっている。そうすると、ローンを抱えた人たちはデフレで損をし、預金を持っている人たちはデフレで得をしていることになる。デフレによる所得移転である。デフレの所得移転は、経済にはマイナスに働く可能性が高い。なぜなら、ローンを持っている人は、貯金している人よりも、もともと消費意欲や投資意欲が高いはずだからである。ローンを抱えている人から金融資産をもっている人に所得を移転すると、ものが売れなくなる。デフレによる所得移転が不況を深刻にしていくのである。

 同じことは、賃金にもあてはまる。実は、正社員の賃金はデフレだからといってほとんど下がっていない。そうすると、雇い主からみるとデフレの時には正社員に高めの賃金を支払っていることになる。製品価格に比べて高くなった賃金のもとでは、雇い主はリストラして正社員の数を減らそうとする。一方、パートの賃金は、その時点の経済情勢で決まってくるので、高すぎるということはない。すると、雇用主は、正社員をリストラして、パート社員を採用することになる。正社員の賃金は下がっていないが、パートの賃金はデフレを反映して下がっている。正社員が減る一方で、パートが増え、両者の賃金格差は拡大する。運悪くリストラされた人たちや就職氷河期に就職できなかった人たちは、パートやフリーターとして低賃金の職につくか失業者となる。運良くリストラされなかった人たちも、リストラの恐怖で消費を控えてしまう。

 デフレの問題点は、正社員の賃金や住宅ローン残高といった価格が低下しないものが存在し、それが実質的な所得の分配に悪影響を与えることである。所得分配への影響が、経済活動そのものに悪影響をもたらすのである。

 日銀がデフレ退治を明確に打ち出したことは、このようなデフレの問題を解決する上で重要である。インフレも所得移転を生じさせ、経済に悪影響を与えやすい。しかし、金融が自由化された現在では、インフレになると金利が上がるのでデフレ時のようなローン負担の不公平の問題は生じない。

 デフレの場合には、金利がゼロより下がらないのが問題なのである。なぜゼロより下がらないか。貨幣という金利ゼロの金融商品があるためである。仮にマイナスの金利の金融商品があったとしても、人々は全員貨幣を持つことになり、誰もマイナスの金利の金融商品を買わない。賃金も同じように、インフレ時には上がりやすい。人々は、賃金が少しでも下がると大きなショックを受けるが、上がることについては問題ない。少しのインフレなら賃金は十分に調整できるのである。
 インフレ率が高くなりすぎてしまうのも経済にとってマイナスである。明日の価格がいくらになるか分からないような状況が生じると、貨幣は貨幣として機能しなくなってしまう。そのような状況になるのは、放漫財政のケースである。国債を乱発し、日銀がそれを買うと、インフレによって財政収入を得るということになる。
 しかし、今必要な政策は放漫財政を可能にするためのインフレ政策ではない。量的緩和によってデフレを克服する目的は、デフレによって失われた価格調整機能をとり戻すことなのである。