一流のビジネスパーソンを目指すからすぅ100%のブログ

主に一流のビジネスパーソンになるための思考や手法を綴っています。

【ビジネス】デービットアトキンソンが描く日本の復興戦略の要約 日本人の勝算―人口減少×高齢化×資本主義より

f:id:incentive-to-innovation:20190705174743j:plain

 

今回の参院選では、自民党が最低賃金1000円、立憲民主党が1300円、共産党が1500円を掲げ、まさに「最低賃金引き上げ選挙」と言っても過言ではない状況となっています。

 

最低賃金が非常にクローズアップされていますが、これはオックスフォード大学で日本学を専攻し、ゴールドマンサックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービット・アトキンソン氏の著書が大きく影響しているような気がします。

  

日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義

日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義

 

 

本書は、日本の勝算とあるように、日本が今後陥るであろう状況を踏まえ、その対策を解説した内容となっています。最低賃金の引き上げに関しては本書の核の部分となっています。

 

 

さて、以前本書の人口減少による影響をブログ

【経済】人口減少+高齢化による悪影響(デフレ)について考える〜日本人の勝算:人口減少×高齢化×資本主義より〜 - 一流のビジネスパーソンを目指すからすぅ100%のブログ

でご紹介したのですが、防忘録もかねて、今回は本書の全貌をざっくりとご紹介させていただきます。

 

ビジネスマンとしても今後の日本の動向を知るきっかけとなる良書ですので、ぜひご覧ください。

 

 

1. はじめに、日本人は人口減少を直視しなければならない

 

まずは人口減少と少子高齢化によって何故デフレが引き起こるのか、そしてデフレになることが今後の日本にどのような影響を与えるのかご覧ください。

 

f:id:incentive-to-innovation:20190705163025p:plain

 

IMFも危惧しているように、高齢化と人口減少によって引き起こるデフレ圧力は今後の私たちの生活を危ういものにする可能性があります。

年金生活の方はデフレの何が悪いと口にされるようですが、社会保障を維持するためにもデフレ脱却は早急な解決を必要とする課題です。

 

当然、政府としてもデフレ脱却のため金融緩和(黒田バズーカ)等の対策を採ったのですが、目標とするインフレ率の達成には及んでいないのが現実です。

 

その原因としては、人口減少により借り入れ需要が減り、流動性が市場に生まれないからだと本書では説明しています。

f:id:incentive-to-innovation:20190705165545p:plain

 

そこで本書では、個人消費を増やすため政策として、「賃上げ」を推奨しています(最低賃金を上げることのメリットは5章で説明)。

 

f:id:incentive-to-innovation:20190705170049p:plain

出展元:日本人の勝算:人口減少×高齢化×資本主義

 

ただし、漠然と賃上げを行うだけではなく、まずは今の日本の資本主義のあり方について見つめなおす必要があると著者は考えています。

 

 

2. 現在の資本主義のあり方をアップデートする必要がある

 

マッキンゼー等の調査・分析によると、国の経済成長は①人口増加要因②生産性向上要因に大別できます。

 

日本のGDPは世界トップレベルですが、今日までこの状況を維持できたのは、①人口増加要因の影響が大きいからだと考えられています。(先進国中第二位の人口の多さ)。

日本は優れた技術力があるからGDPが成長したという人もいるようですが、いずれもGDPとの相関関係は曖昧だったりします。

 

一方の、②生産性向上要因に関しては、世界第28位と極めて低い順位となっていますので、人口減少が進む中では生産性を向上させるということが重要となってくるのがわかります。

 

日本の人材評価は世界ではトップクラスとなっているのに、生産性が低い(今の日本経済は国民の能力にふさわしい給与を払う構造になっていない。ー人材の評価は4位なのに、生産性は28位というのは日本の労働者は世界一搾取されている状況ということ)というのは今日までの日本の資本主義である低次元資本主義に原因があります。

 

ですので、本書では新たな資本主義の形である高次元資本主義に変化をするべきだと説明しています。

 

f:id:incentive-to-innovation:20190705173647p:plain

 出展元:日本人の勝算:人口減少×高齢化×資本主義

 

人口増の下では低次元資本主義も有意義なものだったのですが、人口減下ではそうはいきません。

 

今後の日本は高次元資本主義の下で生産性を高め、賃金を上げ市場へ通貨の流動性を持たせる必要があります。

 

 

 

 3. 生産性を高めるために海外市場を目指せ

生産性を高める活動に輸出があります。

 

GDPに対する輸出比率の高い国は、生産性が非常に高い傾向が確認でき、また、先進国を見ると、輸出比率と生産性との間に高い相関係数が確認できます。

 

企業ベースでも輸出している企業のほうが輸出をしていない企業よりも生産性が高いと世界中で確認されています。

 

これは当たり前のことなのですが、本書では、「新しく輸出を始める企業の生産性はすでに輸出をしている企業より低いものの、輸出をしない企業よりも高い」とも紹介されていますので、輸出のためには高次元資本主義に紹介したような生産性の高い企業となることが重要となるのがわかります。(4章で後述)

 

 

また、生産性向上の手法として、原材料ではなく、部品などの中間材を輸入することで生産性向上につながるというデータがあります。

 

 日本は輸入比率が極めて低く、かつ電子部品などの中間財を非常に多く輸出している

(他国の生産性を高めている)ので、今後は日本も中間材の輸入等を検討するべきとも紹介しています。

 

 

4. 生産性を高めるために企業規模を拡大せよ

 

さて、それでは生産性を高める組織になるためには何をしたらよいのかですが、答えはシンプルで大規模な組織となることです。

 

まず前提として日本では小規模企業に勤める労働者比率が高いことがあります

生産性が高いのは従業員や施設規模の大きい企業となりますので、本書では統合や合併により企業規模を大きくすることを提案しています。

(もちろん、本意見に対する反対意見等も十分に取り入れながらの説明となっています。

 

【企業統合のメリット】

f:id:incentive-to-innovation:20190705190251p:plain

 

 

 

5. 最低賃金を引き上げよ

さて、本書の核となる部分です。

 

 

まず、最低賃金の向上については以下のようなメリットがあげられます。

 

最も生産性の低い企業をターゲットにできる

最低賃金を引き上げることによってもっとも生産性の低い企業をターゲットに、生産性の向上を促したり、経営を変える動機を与えることができる。

 

消費への影響があがる

最低賃金で働いている人はもっとも消費性向が高いことが確認されています。最低賃金で働いている人たちの賃金を上げたほうが、より消費に向かいやすくなります。

 

生産性向上を強制できる

企業は高くなった人件費を何らかの形で穴埋めしなくてはならず、これが生産性を高めるための動機となります。

また、賃金があがれば社員のやる気が高まり、スキルアップのための研修への参加率も高まり、その結果、離職率が下がり、離職者の増加に伴う企業の求人コストも減る。

 

 

もともと最低賃金のなかったイギリスでは最低賃金の導入を行い、生産性の向上に成功しています。このことからも最低賃金と生産性の間に強い相関性があることが確認されています。

 

また、イギリスは最低賃金を段階的に上げ生産性を高めたのですが、懸念されていたような最低賃金の引き上げによる失業への影響はなかったそうです。(他国では極端に上げすぎた結果影響がでたケースはある。)

 

 

 

6. まとめ

さて、本ブログをまとめると以下のようになります。

 

日本は今後人口減少や少子高齢化でますますのデフレが懸念され、国として保つべき社会保障などの機能が破綻する可能性が生じています。

需要の減る社会においては従来型の低次元資本主義ではGDPを高水準で保つことは難しいので、高次元資本主義へアップデートをする必要があります。

そのためには生産性を高め(輸出の増加や企業の統合を増進する。)たり、最低賃金を上げる必要があります。

 

 

 

本書は経営陣には嫌われる書籍だと思います(最低賃金を引き上げたり、国の生産性を下げる中小企業は統廃合すればよいだの)。

 

しかし、優秀な日本の労働者が対価を得られないのは経営陣側の問題でもありますので、本書にあるような高次元資本主義への改革も必要なのではと思わせてくれる一冊です。

 

 

本部ブログを呼んだだけでは、最低賃金を上げるだけで本当に効果があるの?と思われるかもしれませんので、詳しく知りたい方はぜひ本書を読んでいただければと思います。

日本人の勝算―人口減少×高齢化×資本主義

日本人の勝算―人口減少×高齢化×資本主義